ほい

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無責任なぶろぐ

ブロックチェーンが可能にしたこと~ビットガールズでの実証~

  最近、トークンエコノミーがマイトレンドです。

 そうは言っても、特に意味や定義はなく雰囲気で言っていて、トークン使って何かやってたらトークンエコノミーだと思っています。自分は専門家でもないのでこれ以上掘り下げて語ることはやめておきます。かなり奥詰めて考えないといけそうな気がするので笑

 ブロックチェーンにつぐ曖昧ワードとしてバズりそうな予感がプンプンしてますね。期待してます。

 まあそれはそれとして、今回は、これトークンエコノミーだったよね。と個人的に思った事例「採掘!ビットガールズ」について紹介・解説していきます。

 

予備知識

トークンとは

 トークンとはブロックチェーン上で発行される独自コインという意味合いで仮想通貨業界では使われているようです。

 ブロックチェーンといってもパブリック型やプライベート型がありますが、今回取り上げるビットガールズでのトークンでは、ビットコインのブロックチェーン(パブリック型)上でカウンターパーティを用い発行したトークンを使用しています。

 

トークンエコノミー

ブロックチェーンの功績の一つは、「盗まれ放題」、「コピーされ放題」、「真贋性があやふや」、「所有権があやふや」というイメージであった「デジタル商品」に希少性の概念を実現して、「改ざんできない」、「コピー出来ない」、「100%真贋性が明確」、「所有権が明確」という「デジタル資産」への進化をもたらせたこと。

それがトークンエコノミーである。

テックビューロ株式会社CEO 朝山貴生

【堀江×佐山】トークンエコノミーは新世紀の幕開けだ

こちらNewsPicksの記事での朝山さんによるコメントです。

 「採掘!ビットガールズ」はこの朝山さんがCEOを勤めるテックビューロ社がテレビ会社と企画連動して行った番組です。これからビットガールズの番組で行ったトークンエコノミー(あくまで自分が思う)の事例について解説していくのですが、上記の朝山さんのコメントにかなり影響されています。ちなみに記事は有料で読んでいません。

 

 番組自体の趣旨としては、アイドルやコスプレイヤーなどの女の子(ビットガールズ)をブランディングしていくといったエンタメ系テレビ番組です。2016年9月から翌年3月まで放送されました。そしてこの番組ではトークンを用いた以下のようないくつかの試みがなされています。

・希少性をもつ電子トレカの実現

個人を証券化トークン化)する

電子投票券による直接投票システム

・他アプリとの連携(互換性)

 

希少性をもつ電子トレカの実現

  ビットガールズ18名にはそれぞれ「トレカブ」というトークンが発行されました。(例:あさにゃん→DJASANYANトレカブ)

 トレカブという名の由来はトレーディングカードと株式の意味を持つ造語なのですが、まずはトレーディングカードという電子トレカの側面から見ていきます。

  このトレカブは予め上限枚数500万枚ずつと「ロック」されています。つまり電子トレカというデジタル商品が世界で500万枚しか存在せず、これ以上は増えないということが約束されているのです。

 従来、このような仕組みを電子トレカに取り入れることはできませんでした。なぜかというと、電子トレカはスキルさえあればコピーが無限かつ容易にでき、ネットを用いて世界中の人に偽物を即販売可能だからです。リアルカードでは印刷技術や配送等の手間やコスト面等から相当レアなカードくらいしか問題にはなりませんが、デジタルではコストがほぼゼロなので全てのカードの複製ができてしまいます。そういう背景があり、限定枚数のある電子トレカは生まれませんでした。

 しかし、ブロックチェーンではこれを可能にしました。このトレカブはビットコイン上のブロックチェーンで発行され記録されています。ブロックチェーンの改ざんは技術的にほぼ不可能であることから、デジタル商品のデータ記録を改ざん・コピーできない仕組みを確立したのです。なおかつ、公開台帳システムであるからトランザクションを参照すれば保有者のアドレスが分かり所有権をも明確にします。したがって、朝山さんのコメントのようにトレカブには500万枚限定という希少性の概念が実現したわけです。 

 また、この番組ではクリスマス限定の「クリスマストレカブ」というトークンを発行しました。前述のトレカブとの違いは、発行数がたったの1000枚ということ。これにより何が起こるかというと、レアカードというより高い希少性をもつようになりました。これにより、500万枚発行された通常トレカブより高値で取引が行われました。
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あさにゃんのクリスマストレカブ。保有者の情報が公開されていることが分かる。

1PNから始まるアドレスはオーナーアドレスであることから取引所にまだ多くの方が預けているのだろう。

 

 個人を証券化トークン化)する

 次にトレカブのもう一つの側面、株式という点を見てみます。

 トレカブトークンは証券に見立てて、ICO(株式でいうIPO)という販売手法で販売され参加者には出資額分のトレカブ配布を行い、株式のように取引所での売買が開始されました。そして、トレカブの時価総額をランキング化し番組内容に影響を及ぼせるという革新的な視聴者参加型システムを取り入れたのです。

  すなわち、ビットガールズの人気度を時価総額という形に置き換えたのです。これは企業が行うように個人が証券化トークン化)し、そのトークンに価値をつけて競わせることを実現させました。まあ実際流動性が低く、人気度=時価総額と直接結びついていたとは言えなかったですが、それでも人気の方はファンの支持より常に時価総額のトップを位置していました。

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 こちら佐野真彩さんのトレカブの取引のようす。現在も取引所Zaifにて取引されている。

 

 

 また株式に見立てたトレカブトークンには配当機能もあり、トレカブ保有者にはHYOUトークン・PACHIトークン(後述)が定期的に配当されました。

 

電子投票券による直接投票システム

 トレカブ所有者には、持ちトレカブ比率によりHYOU(票)トークンという投票券が配当され、毎週行われるイベントの投票に参加できました。これは電子投票券をトークン化させています。ビットコインを送るように、自分の応援する女の子のアドレスにHYOUトークンを送ることで投票します。(PACHIトークンも同じ仕組み)

 この投票結果もブロックチェーン上に残ります。したがって誰がいくら投票したかは全てトランザクションから検証可能であり、制作者側はやらせや不正行為が一切できず、投票側も改ざんすることはほぼ不可能です。またパブリックチェーンの特性上、第三者の介入もありません。 

 要はやらせや不正行為が一切ない大人数でのリアルタイム直接投票システムを実現したのです。

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HYOUで投票!シーズン1最終決戦結果発表!! | BitGirls - ビットガールズ公式トレカブ情報サイト

 

テックビューロがビットコインなどの仮想通貨や独自トークンによる投票をリアルタイム集計できるブロックチェーンサービス『Zaif Vote』を提供開始 | Zaif Exchange

 

他アプリとの連携(互換性)

 番組終了のお知らせとともに記念トークンが発行されました。と同時にこの記念トークンはBookofOrbsというアプリで連携できるようになりました。BookofOrbsとはトークンのコレクションアプリでコレクションを閲覧したりアプリ上での売買が可能です。よってトレーディングカードの醍醐味、コレクション・トレードが今後も可能となります。海外の方も多く、興味を示しているということなので記念トークンの価値が今後あがっていくかもしれません。

 そして、この連携ができるという互換性が、個人的にとても興味深い分野なのです。いまのところ、ビットガールズの記念トークンはこのアプリのみでしか連携できませんが、他の外部サービスやゲームアプリ等にも連携していくことが技術上できます。つまり、記念トークンの現目的はトレーディングカードのみですが、今後のコラボ次第では他のゲームキャラクターや他サービスに発展していくかもしれないのです。これはオープンソースであるがゆえに可能にしているのですが、今後アイデア次第では非常に大きな可能性を秘めていると思っています。


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bookoforbs.com

ビットガールズ(Bitgirls)と視聴者向けのBook of Orbsの簡単な紹介 – Project ORB公式ブログ – Medium

 

まとめ

 このように「採掘!ビットガールズ」は、ブロックチェーンを用いたトークンを駆使して、希少性の概念がある電子トレカや個人証券といったデジタル資産を売買したり、大人数での直接投票システムといった実験を行いました。また他アプリと連携させ、今後の発展にも何かあるかもしれないという可能性を残しました。

 とはいっても、けっこう問題もあって、カウンターパーティーというプロトコル上、トークンの送信手数料がかかったり、投票時間内に投票が承認されなかった(ようは投票が間に合わなかった)りといったことがありました。時価総額ランキングも流通性が少なくいまいち盛り上がりに欠けました。実用的であったとは決して言えませんが、まだまだ未知の領域、将来が楽しみです。

 さまざまな試みによりトークンエコノミーの可能性を見せてくれた「採掘!ビットガールズ」、仮想通貨マニアな自分にとっては非常におもしろい番組でありました。今後のトークンエコノミーに大期待です。ビットガールズのみんなにも癒されました。続編待ってます笑

www.youtube.com

 番組はyoutubeで見れますよー。

 

p.s.

 個人的にもイラストトークン(WACKNAKAMOTO)を発行していて、Memorychainという企画でBookofOrbsにてコレクションができるようになっています。これについてもまた記事にしたいと思っています。

 

 実際、金融機関はトークン化によるシステムコスト削減等を狙っているようです。テックビューロが企業向けトークン支援をして、企業トークンもすでに発行されています。取引所で売買されてもいます。

SJIとテックビューロがブロックチェーン技術のフィンテック実証実験と販売に向けての協業を開始 | mijin

テックビューロがブロックチェーン技術を用いた仮想通貨やトークンの発行支援サービスを企業向けに提供開始 | Zaif Exchange

 

 

 

参考記事

ビットガールズについて

BitGirls – ビットガールズ公式トレカブ情報サイト

テックビューロがブロックチェーン技術を利用した電子トレーディングカード「トレカブ」販売の初日3日間で売上2,000万円を達成、トレード初日の時価総額は5,000万円以上に | Zaif Exchange

bitgirls-nemkd12.hatenablog.com

 

トークンエコノミーについて

 

 東晃慈さん

 (IndieSquare共同創業者)

トークンエコノミーの誤解とハイプの始まり - ビットコインダンジョン

トークンエコノミーとビットコイン価格がもっと上昇しなくてはいけない理由 - ビットコインダンジョン

 

 大石哲之さん

(日本デジタルマネー協会理事・日本ブロックチェーン協会アドバイザー)

トークンエコノミーの到来~仮想通貨を組み込んだメッセンジャーアプリのGemsがプリセール | ビットコイン研究所